警官懲戒、7件非公表 法令違反の疑い

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北海道警の警察官が今年、強制わいせつや住居侵入、ひき逃げなど法令違反が疑われる7事案で懲戒処分を受けながら公表されていないことが12日、道警への情報公開請求で分かった。いずれも減給処分で、道警監察官室は「公表基準に合致していない」と説明している。専門家からは「恣意(しい)的な判断」との批判が出ている。

 毎日新聞は11月、道情報公開条例に基づき、2010年1月〜今年10月の懲戒処分一覧を開示請求した。

 一覧によると、今年公表されていなかった懲戒処分は12事案で、うち法令違反が疑われるのは少なくとも7事案。警察署所属の巡査部長が今年8月26日、「部外異性に強制わいせつをした」として減給6カ月(10分の1)、7月22日には警察署の巡査が「撮影機能付き携帯電話を使用し、卑わいな行為をするなどした」として減給6カ月(同)となっている。このほか、ひき逃げなどの交通違反が3件、住居侵入、万引きが各1件。

 道警は、警察庁の「懲戒処分の発表の指針」を基に公表の是非を判断。指針では(1)職務に関する行為(2)私的行為のうち停職以上の行為(3)内外に及ぼす影響などを勘案し、国民の信頼を確保するため、発表が適当と認められる懲戒処分−−を公表するよう定めている。

 法令違反が疑われる事案を公表しなかった理由について、道警監察官室は「指針に基づいて検討し、発表する事案ではないと判断した」と説明。逮捕すべき事案はなかったとする一方、書類送検の有無や事案の詳細については「調査や捜査の結果、事件として立件すべきものはきちんと立件しているが、個別の案件については回答を差し控える」と述べるにとどめた。

 同志社大の太田肇教授(組織論)は「法令違反が疑われる事案は、警察庁指針の(3)に該当する」とした上で、「強制捜査権を持つ警察は高い順法精神が求められる。公表の是非は国民の常識に照らして判断すべきであり、恣意的な判断をすべきではない」と指摘している。

 道警では今年、札幌中央署員が暴力団幹部に捜査情報を漏らしたり、別の署員が拾得物の現金を詐取したりして書類送検や逮捕されたほか、6月に一家5人が死傷する飲酒交通事故があった砂川市では、管轄する砂川署員が道交法違反(酒気帯び運転)容疑で書類送検されている。